第三巻 「玄冬のトーガ・ムレン」
ISBN4-88392-506-4
2005/10/20 第一刷
2012/08/28 電子書籍版発売
表紙:コル・ヒュドレ
恐るべき暗黒魔道らの妖術が、ついに発動する。
「敵兵急襲! その数、およそ十数万!」
おぞましき亡者(アンデッド)の、群れまた群れ。
たちまちにして十重二十重に取り囲まれる、本陣の将兵たち。
ギャメルらの別働隊も、完全に孤立してしまっていた。
「してやられたか!」
驚愕し、右往左往する部下たちを制し、ギャメルはひとり静かに笑みを浮かべる。
「影法師、恐るるにたらず」
号令一下、ドリュテス騎兵の馬蹄の音が、トーガ・ムレンの荒野に響き渡る。


 第二巻から、いよいよファンタジーらしく魔道士たちも続々と登場してきてはいたのですが、あまり華々しい活躍をしている様子は見られませんでした。特に「暗黒魔道」たちなどは、そのいかにも禍々しいネーミングとは裏腹に、ほとんど何もせずにおとなしくしているばかりであった感があります。
 その暗黒魔道らの本領発揮といいますか、或る意味このルテラ世界最大最強(凶?)とも言える大魔法が発動するのが、この第三巻です。
 それがどのような大魔法なのかは、読んでみてのお楽しみということで……
 さて、もう一つ、重要なキーワードとなる言葉が登場します。
 タイトルの「玄冬のトーガ・ムレン」一字にもなっていますが、「」の一文字。
 漢和辞典を紐解いていただくとよく判るのですが、実は非常に深い意味があります。
 老荘思想の根源をなす一字であるといっても過言ではなく、「玄元皇帝」などといえば、太上老君こと老子の尊称の一つに上げられるほど。
 主人公ギャメルが、その功績を称えられてそのようなご大層な称号を重々しく(?)も授与されている頃……いま一人の「玄」なる男が、その謎めいた漆黒の仮面とともに行動を開始していたのでした……

 「玄将軍」こと、ギャメル
 暗黒将軍、コル・ヒュドレ
 暗黒魔道の長、デモニカ


 未だ直接には面識のないこの三者。
 彼らは今後、どのような形で邂逅し、その運命の糸を絡ませてゆくことになるのでしょうか……

 第二章を二巻に移動させましたもので、元の「ぶんりき文庫」版よりは短くなりましたが、それでもまだまだけっこうな厚さが残っております。(^^;;;
 今回のリライト作業では、各巻の厚さを揃えるということも出版社さんからの要望でしたので、ちとばかり(?)苦労いたしました。

「幻の」……ヴァージョン???
★よ〜く見ていただくと解るかと思いますが……実は、タイトルの「玄冬」が「幻冬」になっております。
★そうです。何とこの三巻、「タイトルに誤植がある」という、世にも珍しい代物になってしまっておるのです! (苦笑)
★これってやっぱ、世界の出版史上でも、かなり珍しい事例なのでは??? (苦笑の二乗)
★おまけに、「わざとやったんかい?」てな具合に「」という文字で……。(苦笑の三乗)
★というわけで、文字通り「幻の」希少本まがいの書名になっちゃいました……。
 (ほんと、いっそのこと“ギネス”にでも申請してやろうかしらん……)
★購入した人、どうぞ「話のネタ」にでもしてやってください……(^^;;;

出版社による解説ページ