その14
戦場における魔法の運用法
その3(防御・回避魔法)

 さて、今度は「防御魔法」です。
 攻撃魔法に比べると、かなり地味なのですが、ウィザードリィやM&Mのような古典的なファンタジーRPGの世界では、冒険者たちを守る必須魔法となっております。
(M&Mなど、特に多い……とても多い。非常に多い。うざったいくらいに多い!)

 今回は、それらを考察してみることにいたしましょう。


防御力増加タイプ

 そのものずばりのタイプと申しましょうか……
 通常攻撃や魔法攻撃に対する耐久性を高めるための魔法です。

装甲強化
 着用している鎧や、装備している盾などに魔法をかけ、その防御力を強化する魔法です。

 一時的な効果を発生させるだけのものを、このように呼びます。
 時間が経つと元に戻ってしまいますので、注意が必要です。
 持続時間は、術者のレベルでかなり左右されます。

※「付与魔法」の中には、この魔法と同様の効果を永続的にもたらすものもあります。
 大変役に立つ魔法だったのですが、マウア帝国の時代には、もはやほとんど廃れてしまっていました。

空気の盾・空気の鎧
 鎧を着ていなくても、着ているのと同様の防御力を得られる魔法です。
 
 もともとは戦場でも軽装を好む人々のための魔法ですが、完全にまるはだかの状態でも有効なので、要人たちが暗殺者に対する用心のため、入浴時などに自らかけておくようなことも行われました。
 戦場近くで、やむを得ず水浴びしなくてはならなくなったような場合には、必ずかけておくべき魔法です。

火炎防御
 炎や熱に対する防御力を高める魔法です。

 必ずしも魔法的な炎でなくても有効ですので、敵による「火攻め」に対抗する際にはとても役立ちます。
 燃えさかる建物の中に飛び込んで、煙に巻かれかけている人を助ける……というような状況下でも使えますので、戦時以外では主に「消防士」たちのみを守るために用いられます。

 やはり効果は一時的で、時間とともにだんだんと断熱性・防火性がうすれ、最後にはまったく元の木阿弥となってしまいます。この魔法をかけてもらって炎の中に飛び込むような場合には、ちゃんと有効時間内に脱出できるよう、十分余裕を見て行動しなくてはなりません。

※「付与魔法」で恒久的に火炎防御処理された衣服には、「火ネズミの皮衣」とか「火食いトカゲのウロコ鎧」など、それらしい名前が付けられることが多かったようです。

魔法防御・魔法無効化
 火炎や熱のみならず、ありとあらゆる魔法的なエネルギーを緩和もしくは遮断する魔法です。

 魔力を緩和するものを「魔法防御」、そして完全に遮断するものを「魔法無効化」と呼ぶことが多いのですが、より厳密な意味では、これは正確ではありません。
 本来の意味の「魔法無効化」とは、文字通り、魔法そのものの効果がいっさい発生しない領域を確保することなので、発動した魔力を遮断するだけの魔法をそのように呼ぶのはおかしいのです。
 そもそも「魔法無効化」の「魔法」という概念自体、自己矛盾してしまっていますね。(^^;;;

 本当の意味での「魔法無効化」とは、「魔法」の一種ではなく、そのような効果を発生させる「特殊能力」なのでした。
 ちなみに、そのような特殊能力は極めてまれな能力であり、「神」もしくは「竜」、またはその眷属のうち一部の者にしか備わっていないものです。そして、それを有する者は、魔法使いや魔道士の類に対し、圧倒的な優位性を持つことになりますから、当然、彼らからはとても怖れられることになります。


回避タイプ

 上述の魔法や特殊能力は、全て魔法野物理的攻撃が命中した時のダメージの緩和を目的としたものでしたが、そもそも命中させないようにすることができれば、それに越したことはないわけですから、そのような魔法も編み出されました。

矢玉そらし
 対象の周辺に幾重もの空気の層をめぐらし、飛来物の軌道を変化させて弾き飛ばす魔法です。

 命中する角度によっては絶大な効果を発揮しますが、たまに、ほとんど効果のないこともあります。
 確実性の少ない、いささかしょぼい魔法なのですが、比較的長く有効時間が続くので、戦場では多用されているようです。


幸運
「運」を良くして、敵の攻撃にやられにくくする……というふれこみの魔法です。

 ほとんど誰でもかけることができるので、非常に良く行われてはいるのですが……
 効果のほどはいまいち「?」であるようです。
 何しろ、この魔法でどの程度の「運」が上昇するか、それもまた「運」なのだ……などといわれているくらいですから。(^^;;;

 ちなみに、カルデリアで「幸運の魔術師」と言えば、この魔法しか使えないような、最低レベルの落ちこぼれ魔法使いのことを指します。(当然ながら「魔道士」とは呼ばれません)


  

★当サイトに掲載されている小説、詩、その他の作品の著作権は三角隼人に帰属します。無断での引用、転載等はご遠慮下さい。★